[011]おしっこを掛けられた月。
さて、いよいよ北上してみよう。イエ・プルからタンパクシリン方面へ約1.5km行くとペジェン村の中心になる。ここにはクボ・エダン寺院、プセリン・ジャガット寺院、プラタナン・サシ寺院などの重要な寺がある。
クボ・エダン寺院はバイワラ派という黒魔術を操る寺で、人を呪い殺したり地位から引きずり下ろしたり、人を病気にさせたりする悪霊の寺で“狂った水牛”を意味する名前のとおりだ。4本のペニスをもつ巨人ボマ像は今も見る価値があるが、この宗派が現在は滅んでいてよかったと思う。
この寺から北へ100mでプセリン・ジャガット寺院。“世界の中心”の名のかつてのペジェン王朝の中心的存在だった。1392年に創建されたという。
さらに100m北へ行った道の右側にプラタナン・サシ寺院が見えてくる。バリ六大寺院のひとつといわれる大寺で、ペジェンの月と呼ばれる大きな銅鼓で有名だ。
ペジェンの月にはいささか面白い伝説がある。昔は1年が13ヶ月あって13個の月がそれぞれの月毎に輝いていた。そして、ある時点で1個が地上に落ちてきて大きな樹に引っかかって止まってしまった。以来、夜が昼のように明るく、人々は眠るのにも困った。もっと弱ったのは盗賊たち。「夜中がこんなに明るくては仕事にならん!」というので樹に登り、月に小便を引っかけた。すると月は大爆発を起こし、地上に落ちてきたが盗賊も死んでしまった。それ以来、1年は12ヶ月になったそうだ。
ペジェンの月はこの落下で、下部に大きな損傷を受けたのだが、写真ではわからない。横に寝かされているので奥の部分が下だが、40〜50cmの欠損部分があるそうだ。とにかく直径180cm高さ3mの銅鼓は世界一の大きさだそうで、インドネシアの国宝級の美術品である。
アジアアシストネットワーク
寺村重喜
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